映画「アメリ」で一躍有名になったモンマルトルの丘がある9区。個人的には雰囲気があまり好きな区ではないので滅多に行かないのですが、最近はスノッブ地区を避けるようにあえてここにお店をオープンするレストランも多く、久しぶりに出かけてみました。9区人気店の先駆け的存在、Le Pantruche(ル・パントルーシュ)が予約にあぶれた人のために作ったという2号店、Caillebotte(カイユボット)です。
モダンなインテリアのすっきりした店内にふさわしく、料理もシンプルでいて計算されたプレゼンテーション。もはやネオビストロ系のお約束となったふわふわエスプーマと、鮮やかなベトラーヴを差し色にする盛り付けがいかにもな感じです。
デザートのグレープフルーツとピスタチオのアイスも美しい色合わせ。ただしフルーツの酸味とアイスの甘さはいまいち上手く繋がっていないようで、もう少し工夫が必要かも。
これを食べている横のテーブルでフランス人のおばさん二人が前菜の「スープがしょっぱすぎる!」と騒ぎ始め、呼ばれたサービス係のお兄さんはイヤな顔ひとつせずに「シェフに確認して参ります」と颯爽と奥に消え、結果として他の前菜を新たに運んできていました。これがもっと安い店であれば店員といえども「ハァ?何言ってんの!?じゃあ食べ残せば」なんて態度が当たり前のフランスにおいて、高級店のサービスって大変だな・・・としみじみ思いつつ静かにデザートを平らげました。
これだけ手の込んだ造りでメイン+デザートが19ユーロ(ランチのみ)、おまけにサービス係の愛想もよく申し分ないわけですが・・・やっぱり私にはこのネオビストロというジャンルはしっくりこないんだなあということを妙に再確認した日でした。何というか、とても優秀でソツがないんだけど、どこか型通りすぎて面白みがない感じ。それよりもパーフェクトじゃなくていいから何か一点で強いポリシーや情熱みたいな人間臭さを感じさせてくれる料理の方が好きだな〜と考えながら、これって昭和のおじさんが「最近の若者は“ゆとり”だからさー」と愚痴っている構造と同じなんじゃないかとふと気づき、自分の老化(?)に慄いた瞬間でした。
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