実は今月から夫の大出張フェアーが始まりました。スペイン→チューリッヒ→日本と息つく暇も無く駆け回って、家にはほとんど不在。そしてこういう時の私の楽しみといえば、夕飯の支度を気にすることなく映画を見に行くことなのです(なんて良き妻!)。
もともと昼に見に行けば夕飯は関係ないじゃないかという話なのですが、私の中で映画というのは仕事が早く終わった日に行かれるたまの贅沢という位置づけだったので、毎日が夏休みの今になっても何となく昼間っから見に行く気にはなれないのですね・・・。
お気に入りの映画館は住宅街にひっそり佇んでいる古臭〜い所で、銀座の路地裏にある単館映画館を思わせるような雰囲気。いつ行ってもお客が数人しかいなくて、一体どうやって経営しているのかは謎です。でも入り口にあるタイトルと放映時間の表示がプラスチックのアルファベットを並べて作られていたりして、意外に凝ってるし可愛い・・・と思っています。いちいち組み合わせて貼ってるんでしょうか。
前置きが長くなりましたが、本日見たのは「午前零時、パリで」。何の予備知識もなくただパリを題材にした映画が見たくて選んでみたら、ウディ・アレン監督の2011年新作でした。どうやら日本ではまだ公開されていないようなので、ごく簡単にあらすじを説明すると
「結婚を控えたアメリカ人カップルがパリ旅行に来た。ショッピングにレストランにと浮かれる彼女&その両親に対して、脚本家の主人公はもっとパリの芸術的な面を見たいと願う。ある夜、彼女がダンスパーティに行ってしまい置いてきぼりにされた主人公が深夜のパリを徘徊していると、不思議な一台の車が近づいてくる。思わず乗ってしまったら、車が着いた先はなんと1920年代の古き良きパリ!」
・・・という、言ってしまえばタイムトリップものです。
たぶん日本人にとって年末の新撰組特番で沖田総司は薄幸の美少年じゃなきゃ!というのがあるように、アメリカ人にとっても典型的・固定キャラというのがあるらしくて、ヘミングウェイがやたらマッチョだったりダリが明らかに変人だったりデフォルメされた姿が笑えます。ただし教養の足らない私にとってはこの人誰?というのもあったりして、芸術的造詣が深くないとちょっと楽しめない気も。
一方でレトロなムードに彩られたパリの映像はとても美しくて、やっぱり綺麗な街だなあとウットリ。完璧に編集された映画の中のパリは実際の汚さや臭さがシャットダウンされているので観賞用にもってこいです。ストーリーも難しくなくてそれなりにオチも付いているし、一人で何となく見るには打ってつけの作品でした。