今日は仕事を早めに切り上げて、有楽町の三菱一号館美術館へ出かけました。ここで開催されている「PARIS オートクチュール〜世界に一つだけの服〜」という展覧会がお目当てです。このイベントはもともとフランスのガリエラ宮モード美術館によってパリで開催されたものなのですが、ちょうどジュネーブからパリへ引っ越すタイミングで惜しくも見ることができず、こうして東京に来てくれて本当にラッキーでした。
ビジネスの街、有楽町にあるとは思えない安らぎの丸の内ブリックスクエア。私がこの辺の会社員だったらお弁当持って来ちゃうなあ。しばし咲き誇るバラを眺めて時間を忘れます。
職人の手仕事が詰まった一着の服はまさに芸術、との謳い文句の通り、数千とも数万ともつかない小さなビーズをひとつひとつ手で縫いつけたドレスなど、ため息が出るような高級婦人服がたくさん並んでいました。私は芸術作品といっても彫刻や壺なんかはあまり興味がなくて、デザイナーの天才的なクリエイティビティを宿した服でも最後は人が着る、という人間臭さみたいなものが感じられる芸術が好きです。人に合わせて作るから時代や階級によって服のデザインも変わってくるのが面白いところ。
一部屋だけ撮影OKの場所があったので記念にパチリ。
今となっては化粧品会社の広報→アンティークショップと謎の変遷を遂げてしまった人生ですが、もともとはファッション業界のプレスになりたくてロンドンの大学に留学したのが早や15年前。論文のテーマは「クリスチャン・ディオールと戦後のはじまり」でした。当時は柔らかくエレガントなディオールのデザインに憧れたけれど、今はもう少し削ぎ落とした感のあるバレンシアガが好き。パリの高級ブティック街ことサントノレ通りに店舗があって、美術館のように整然と服が並べられていました。いつも人がいなくて暇そうな店員さんがあくびを噛み殺しているような状態なので恐ろしくてとても中には入れず、ショーウィンドウ越しにじーっと中を見つめてみたり。オートクチュールといわなくとも、ドレスの一着くらい買える日がくるといいな…。